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2005年06月10日号

「日本OCW連絡会」設立 本学など6大学

「知」を世界へ発信
「日本OCW連絡会」設立の記者会見 五月十三日、東京都千代田区のホテルニューオータニで、慶應義塾大学、東京大学など六大学が記者会見を行い、「日本OCW連絡会」を設立して各大学の講義情報をインターネット上で公開することを発表した。教育のグローバル化が進展する中、六大学はMIT(マサチューセッツ工科大学)の提唱するOCW(Open Course Ware)規格に準拠した講義情報の公開を通して、国際的なレベルでの知の発信に積極的に取り組むことになった。

 MITの提唱するOCWとは、MITが二〇〇二年九月以降公開しているWEBベースでのオープンかつフリーな講義情報の公開である。二〇〇五年現在、約千コースが立ち上がっており、世界中で五十万人が恒常的にアクセスしていると言われている。

 今回設立された「日本OCW連絡会」には、大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学の計六大学が参加。当初は英語を基本として計百三十七コースの講義情報を無償で公開することにより、国際的な知的向上、教育資源の蓄積を図って世界に貢献していく。

 設立の背景としては、インターネットの普及などITの著しい発達によって、大学生活を取り巻く環境が大きく変化しグローバルになる中、知の創造と社会への還元という大学の役割に対する期待もまた大きくなっているということが挙げられる。

 従来、教育の公開に関しては、各大学の個別レベルでの公開講座など、極めて限定された範囲内で行われてきたが、近年、大学教育の国際的なレベルでの評価が進むにつれて、日本の大学も国際社会に貢献すべき情報発信を行っていかなければ、世界の主流から取り残されるという危機感が今回の設立につながった。

 事務局は慶應義塾大学に置かれ、知的所有権など講義の公開に際して発生する問題についての情報交換や、連携強化の場として機能する予定。

 会見当日は、MIT関係者による挨拶、本学の安西祐一郎塾長を始めとする各大学の代表およびOCW担当者による個別説明が行われ、集まった記者から活発な質問が飛んでいた。

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「日本OCW連絡会」合同記者会見 各大学のコメント

「日本OCW連絡会」合同記者会見の様子大阪大副学長 鈴木直氏

まず持続的な活動こそ重要

 大阪大学で行われている教育及び研究活動の資産を公開することは、まさに知のネットワークの構成に参加することであり、それは知の交流場である大学の使命であると同時に、社会貢献活動の一環として当然の責務であると考えます。同時にこのことは、教養、デザイン力、国際性という我々が掲げた教育目標の実現にも大きく資すると確信しています。本学ではこれまでもアメリカ、オランダに海外事務所を開設するとともに、タイの主要大学へのバイオテクノロジーの講義提供などの遠隔教育プロジェクトを行ってきました。始めは限られた教材の公開となりますが、持続的に活動することが重要と考え、学内回線の整備等充実した内容にしていきたいと思います。

京都大副学長 東山紘久氏

文化的な伝統などを発信

 本学は大学と社会とのつながりを非常に重視しており、本分である大学・大学院教育と社会とのつながりということで、このOCWが位置づけられます。本学が千年の都に位置するということで、特に文化的な伝統など、日本らしさは日本語で伝え、京都大学らしい最先端のことを社会の皆様に知ってもらえるよう努力したいと思います。

東京工業大学長 相澤益男氏

教育に対する意識革新にも

 本学におけるTokyo Tech OCW構築の背景として、OCWが情報技術というものを教育分野に応用展開していくというところに全く新しいコンセプトを提起し、また世界に教育内容が公開されることにより、教員の教育に対する意識が革新されるという点が挙げられます。世界のフロントを走る大学とリンクすることによって、非常に幅広い、世界的なレベルでの教育内容の公開を行い、本学における世界最高水準の理工系の教育を全世界の共有財産とすることを目的としています。本学が短期間に相当数の講義を公開できるようになった理由として、それぞれの教員が自らウェブに掲載できるシステムを構築したということがあり、効率的に機能しています。

東京大総長 小宮山宏氏

学術の細分化解決の糸口に

 OCWに対する一つの観点として、学術、知識の細分化した状況を解決する一つの手助けになるということがあると思います。様々な専門領域に分化してしまった知を、お互いの関係を明らかにし、全体像を見れるようにする構造化の一環として考えています。また本学では、MIMA Searchというエンジンをつけており、一つの科目がどういう形で他の科目とリンクしているか、その強さや多さを目で見えるようにしています。おそらく世界で初めての試みで、これが六大学、更にはMIT、世界の講義と連結されることで、単位の互換や知識の国際化を推進できるのではないかと思います。

早稲田大総長 白井克彦氏

教育概念の大きな変革に

 二〇〇二年にMITで講義情報の公開をすると聞いた時ショックを受けました。クローズな空間で学ぶことに学生も価値を感じていると思っており、公開するなどは思いもよらなかったからです。教育の価値がもっと次元の高いところにあるということを教えられました。公開により、互いの質が見えることで、お互いの切磋琢磨につながり、大学教育の次なるステップになるでしょう。教えるとはどういうことか、どのように学べばいいのか、そういった概念が今後大きく変わっていくことが予想されます。本学では通信教育としてeラーニングは本格的に動き出していて、一つの成功を収めつつあると思いますが、OCWはより大きなスケールでの知的基盤、発展性を持っており、期待を寄せています。

慶應義塾大塾長 安西祐一郎氏

学習者中心の体制を可能に

 今回のOCW連絡会発足は、教育者中心の学習から、学習者中心のオープンアクセスによる学習を可能とする世界を構築するムーブメントの出発点となると考えており、今日はその歴史的な一日であると思います。本学でも昨年、デジタルメディアコンテンツ統合研究機構を立ち上げて、海外も含めた各キャンパスにデジタル工房を立ち上げ、国際的なキャンパスネットワークを築き、誰でもどこでもeラーニングの教材を作れるようなシステムを導入しています。eラーニングに関しては、例えばアジア八カ国に湘南藤沢キャンパスから教材を人工衛星経由で配信しており、そういう状況下でトップレベルの大学と連携してOCWを流通できるのは素晴らしいことと思います。そのスタートとして、社会科学系のテーマで英語によるデジタルバージョンの講義を作って配信できるようにしています。これからは静止画のみならず、映像についても世界に配信できるようにしていきたいと思います。

マサチューセッツ工科大(MIT)学長
スーザン・ホックフィールド氏による祝辞

 六大学の皆様は、MITを始め、アメリカ、アジア、ヨーロッパの様々な大学と協調し、経済的・地理的な難点を解消することによって、教育のあり方を変革することになり、また教育機会を広げることで、人々がより良い生活をし、より良い社会を築くことに寄与することになるでしょう。この動きは今後より多くの学術分野、より多くの言語、そして世界のより多くの大学・高等教育機関の、講義情報公開の実現を意味すると確信しています。この特別な日を皆様と共有できて光栄に思います。

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常任理事8人が決定 新任5人、任期は4年間

 本学は、五月二十七日に行われた評議員会で、八名の常任理事を決定した。工藤教和氏、山崎元氏、吉田和夫氏は再任で、今回、西村太良氏、井上和雄氏、森征一氏、村井純氏、坂本達哉氏が新たに就任した。
 任期は塾長と同様、二〇〇五年五月二十八日から四年間。なお、森氏は七月一日、西村氏は七月十四日の就任となり、それまでの期間は、工藤氏が代行する。各理事の担当は以下の通り。

▽西村太良氏 教育(主管)、研究(共管)、学生、三田・日吉・矢上キャンパス担当
▽工藤教和氏 人事・労務、経営改革(共管)、人事給与制度改革、個人情報保護、創立百五十年記念事業担当
▽井上和雄氏 財務・経理、経営改革(主管)、財政経営システム改革担当
▽山崎元氏 病院、経営改革(共管)、病院経営改革、教育(共管)、一貫教育校、体育会、信濃町キャンパス担当  
▽森征一氏 総務、法務、塾員(主管)、育林会担当
▽吉田和夫氏 施設・管理、調達、企画担当
▽村井純氏 研究(主管)、教育(共管)、産学連携、IT、湘南藤沢キャンパス担当
▽坂本達哉氏 国際連携、教育(共管)、研究(共管)、塾員(共管)担当

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ウェーランド経済書講述記念講演会 服部禮次郎氏が講演

服部禮次郎氏 五月十六日、福沢先生ウェーランド経済書講述記念講演会「小幡篤次郎没後百年-福沢諭吉を支えた第一人者-」が、服部禮次郎氏(福沢諭吉協会理事長)・西澤直子氏(福沢研究センター助教授)を講師に迎え、三田演説館で開催された。

 戊辰戦争さなかの慶應四年五月十五日、砲声が響き渡り江戸中が騒然とする中にあって、福沢が動ずることなく舶来のウェーランドの新著を講述し、学問研究の一日もゆるがせにできないことを塾生に示したことを記念して、慶應義塾では五月十五日を「福沢先生ウェーランド経済書講述記念日」とし、毎年講演会を開催している。今年は十五日が日曜日であったため十六日(月)に振り返られた。

 服部氏は、高潔な人格と豊富な文藻を備え、福沢を生涯に渡り支えた小幡の優れた功績を讃え、「小幡篤次郎の名は、慶應義塾百五十年の歴史とともに、これからも長く後世に語り継がれることであろう」と述べた。また西澤氏は、ウェーランドの唱える「モラルサイヤンス(修身論)」に小幡が大きな関心を寄せた事実に着目し、「小幡は士族社会の中枢にいたからこそ身分制崩壊後の新たな精神的支柱を意識せざるを得なかった」と語った。

 当日は塾内外の参加者が詰めかけて二人の講演に耳を傾け、講演会は盛況のうちに幕を閉じた。

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本学とユニクロが共同開発 スポーツウェアを発売

 本学は、ファーストリテイリング(ユニクロ)からの提案を受け、同社との間で、平成十六年度から三年間の共同研究契約を締結した。六月一日には、共同開発したスポーツウエア「BODY TECH(ボディテック)」の記者発表会が行われた。

 本共同研究には、理工学部、医学部、スポーツ医学研究センターの三組織の研究者が参画しており、記者発表会では、スポーツ医学研究センターの大西祥平副所長がプレゼンを行った。

 ボディテックは、体の機能を科学的に分析し開発されたスポーツウェアで、プロ仕様からカジュアルとして着れる一般用まである。タイプは、プロのアスリート向けの「コンプレッションタイプ」、皮膚の伸縮から動きやすさを追求した「タイトフィットタイプ」、発汗作用を考えた「メッシュタイプ」の三つで、Tシャツやショートパンツなど二十二品目が用意されている。九日から発売が開始され、価格は千円~二千九百九十円に設定されている。

 ユニクロがスポーツウエア市場に本格参入するのは今回が初めてで、将来的にはシェア一〇%獲得を目指すという。

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メタボローム研究で理研と協力体制

 本学と理化学研究所(野依良治理事長)は六月二日、生体内に数千種類存在する代謝物質の総称であるメタボローム研究で、基盤形成に向け協力することを目的に基本合意書を取り交した。ヒトや植物、微生物などのメタボローム解析は、医療産業や食品産業に大きなインパクトを与えると期待されている。

 調印式には、安西塾長と先端生命科学研究所(鶴岡タウンキャンパス)の冨田勝所長も出席した。

 本学の先端生命科学研究所は、動物・微生物を中心としたメタボローム研究基盤を確立し、理研植物科学研究センターでは植物を中心としたメタボローム研究基盤を整備している。今後両機関は、共通の研究プラットフォームの形成を図ることになる。

 鶴岡タウンキャンパスのメタボローム研究は国際的に評価されており、六月二十日~二十三日には、同キャンパスで第一回メタボローム国際会議の開催が予定されている。

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「ハリポタ」講演会開催 翻訳者の松岡佑子氏が講演

松岡佑子氏「皆さんも魔法が使える!」

 五月十二日、外国語教育研究センター主催により、講演会「ハリー・ポッターの魔法とは?!」が、日吉キャンパスで開催された。講演は、世界中で絶大な人気を誇るベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの日本語版の翻訳を手がけ、ILO(国際労働機構)年次総会の同時通訳を担当するなど一流の同時通訳者としても知られる松岡佑子氏を講師に迎えて行われた。

 松岡氏は講演の中で、勉強好きで、本の虫であった幼少時代の様子から、夫である故松岡幸雄氏との二人三脚の歩み、同時通訳者としての苦労などに触れ、魔法のように不思議な巡り合わせであったという「ハリー・ポッター」との出会いについて語った。

 氏は、出版会の歴史を塗り替えたと評される成功の教訓として、「決して物事は一夜にしてならない。かけた時間に比例するというのが私の実感です」と述べ、「何かになりたい!という夢いっぱいの心を持って努力すれば皆さんも魔法が使えます」と励ました。

 講演後には質疑応答の時間がもたれ、普段知ることのできないベストセラーの裏に隠された苦労や、松岡さん自身の魅力的な生き方に感銘を受けた学生などから活発な質問がとび、終始和やかな雰囲気の中、講演会は幕を閉じた。

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