2008年07月10日号
『理系のための人生設計ガイド』 坪田一男・ブルーバックス

まず自己分析が必要
本学の医学部眼科教授で、日本のドライアイ研究の第一人者でもある著者が、自らの経験に基づき「理系にも人生設計が必要」というスタンスで著した一冊。
研究者は研究以外のことをおろそかにしてしまいがちだが、生涯研究を続け、人生で成功するためにも若いうちから道筋を考えて、ある程度の準備を進めていく必要があると著者は訴えている。実際に研究者として独り立ちしたときには、研究職のポストを自分で探し、研究テーマも自分で決めなければならない。研究費も自分で集めて、必要な設備も整えなければならない。研究は自分ひとりではできないから、学生や助手たちのモチベーションを高めるような仕掛け、指導も大切になってくる。
人生設計を考えるときにまず必要なのは自己分析をすること、つまり自分の「バリュー」、「ミッション」、「ストラテジー」を考えることだという。「バリュー」というのは自分が何に対して価値を感じ、何を最も大切だと思っているかということであり、「ミッション」は本当にやりたいこと、さらには自分がやりたいというよりも、神様にやれと命じられているぐらいの必然を感じる使命のこと。またこれら二つを具現化するための道筋が「ストラテジー」である。これらのことがしっかりと定まれば、充実した人生を送ることができると筆者自身の人生を振り返りながら説得力をもって論じられている。
経済的自立、人脈作り、起業の仕方や業績を認められる方法、危機管理能力の身に付け方などが筆者の経験や実際のできごとに基づいて具体的に書かれており、研究者の人生設計を考える上でとても参考になる。
著者自身の「人の可能性を拓く」という「ミッション」に従って、若い研究者の可能性をどうしても拓きたいとの想いから書かれたこの本は、理系の学生にとっては将来を考える上でとても力強い味方となるであろう。(S)
【税込九四五円】
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三田ベストセラー(2008年6月)

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