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2009年08月10日号

あなたの脳 回転してますか

仕組みを理解して活用

 最近、スッキリしているだろうか。「何か力を発揮しきれていない」「やる気が出なくなった」などと悩んでいる人も、意外と多いのではないかと思う。現代人は、様々なストレスの中で生きている。そこで、一つポイントになるのが脳の使い方である。実際、書店に行くと、脳活用法の書籍をよく目にする。そこで今回は、脳活用のポイントを紹介してみたい。

 まず、基本的な脳の性質だが、脳は怠け者で、楽をしたがる。また、一度に多くの作業をするのは苦手である。パソコンと同じで、同時にいくつものソフトを立ち上げると、動作が遅くなるのだ。しかし現代は、価値観が多様化し、情報過多である。これは脳にとって、ストレスの多い時代と言えるだろう。だからこそ、脳の仕組みを理解して、うまく活用していく必要があるのである。

――前頭葉を鍛える

 「なんとなくダラダラしてしまう」「やらないと分かっているが力が出ない」という人は、前頭葉の体力がなくなっているのかもしれない。前頭葉とは、思考や行動を組み立てる脳の司令塔である。前頭葉の働きが弱くなると、脳のより原始的な機能である感情系の欲求―面倒なことはしたくない―に従って動いてしまう。

 そこで、鍛える際、判断の速さや的確な対応ができるといった技術的な部分以上に、指令を出し続けることができる基礎体力をつけることが重要になる。

 脳神経外科の築山氏は、理想的な脳トレとして、家事を勧める。前頭葉の主要な活動は、「選択」「判断」「系列化」。家事は、これら全ての機能を使うので、とても効果的だと言うのだ。

――集中力

 人間の脳は、機械と違って、二十四時間同じ性能を発揮できるわけではない。朝起きる時間を決めるなど、生活のリズムを作ることが重要になる。それによって、集中したい時に集中できる脳のリズムを作ることができるのだ。

 また、築山氏は、脳には「基本回転数」と呼ぶべき要素があるという。頭の回転の速さ、集中力に当たる。この基本回転数は、上げようと思って上げられるものではない。そのための条件がある。

 まず、脳には、体と同じく準備体操が必要である。そのためには、まさに足・手・口を動かすのがいい。散歩、部屋の片付け、料理など。脳の運動系と呼ばれる基本的な機能を活性化させるのだ。それが、高度な思考力を働かせるウォーミングアップになる。

 そして、重要なのは、時間の制約をつけることである。締め切りがあることで、仕事量と時間との関係を明確にすると、脳は頑張ることができる。さらに、何がより重要かという判断もしやすくなる。また、脳を連続使用すると、やはり基本回転数は落ちてくる。だから、適度に休憩を挟まないと、結局能率が悪くなるのだ。

 「モードの切り替え」というのがある。脳は通常、さまざまなモードを使い分けているのだ。集中モードを呼び起こす一つの方法として、「本番前の決まりごとを持つ」というのがある。有名なのは、メジャーリーグで活躍するイチロー選手だ。彼は、試合前に必ず自分で作った決まりごとを行っているという。

――睡眠の効能

 睡眠には、疲労回復だけではなく、情報の整理という役割がある。寝ている間は、外部からの刺激がほとんど遮断されている。しかし、脳は活動を続けている。そのため、記憶の定着、思考の整理は、起きているときより、寝ているときの方が進みやすいのだ。

 この脳の性質を利用してみよう。夜、勉強するときは、論点の整理まで突き詰めてやるよりも、大ざっぱな情報収集にとどめる。そして、眠くなったら、「睡眠中の整理力」に期待して、早めに休むのだ。そして、朝起きてから、結論を出すというやり方である。

 また、ある問題をとことん考え抜いてから寝るとする。そうすると脳は、睡眠前の命令を眠りに入ってからも、引き続き実行しようとする。これは、睡眠を発想法として、活用する方法と言える。

 逆に言えば、脳は睡眠前の状態に影響を受けるとも言える。嫌なことがあった日でも、寝る前は前向きな気持ちで休まないと、お悩みモードのまま、睡眠に入ることになる。これでは、無意識にストレスがたまっていきかねないので、注意してみてほしい。

――ひらめく脳

 「自分はどうも発想力が乏しい」「創造的なことが苦手だ」など。これは、才能なのだろうか。

 ”アイデアがひらめく”というと、無から有が生み出されるような印象を受ける。しかし実は、何もないところから自然発生することはない。脳に蓄積されている様々な情報が組み合わされて、それが形になったとき、それをアイデアというのである。

――脳内会議

 脳に側頭葉という部位がある。ここには、外部からの情報が「記憶」として蓄えられている。何かアイデアがほしいとき、脳の司令塔である前頭葉から側頭葉に指令が出る。すると、その要求に対して側頭葉が、蓄積された「知識・経験」を活用して、「これはいい」と思われる案を、前頭葉に返す。脳内でのアイデア会議の始まりである。前頭葉は、その提案に良し悪しをつけ、それに合わせて、側頭葉はまた提案しなおす。その繰り返しの中で、前頭葉が納得する答えを見つけたときが、”ひらめき”の瞬間だと考えられている。

 ところで、誰でもアイデア会議は行われている。つまり、アイデアが出ない人というのは、会議がうまくいっていないことになる。ここでポイントになるのは、前頭葉である。「意欲」というのは、前頭葉が司る。しかし、前頭葉の問題意識が低ければ、当然、アイデアに対する意欲も減ってしまうのだ。

 ひらめきとは、特別な才能ではない。前頭葉と側頭葉のコミュニケーション力の問題だ。それは、「意欲」と「知識・経験」の掛け算と言える。

――思考の整理

 脳は、いくつものことに取り組むのは苦手だ。そこで、脳の力を最大限に発揮するためには、取り組み問題をできるだけ限定すること。そして、それに集中できる環境を作ることが重要になる。

 一つは、物の整理である。余計な物をなくす。重要度に応じて再配置する。身の回りを整理することで、思考も整理されるのだ。これによって、解決すべき優先順位がはっきりして、脳は集中しやすくなる。

 また、よいアイデアが生まれやすい環境というものがある。たとえば、「お風呂」「トイレ」や移動中の「電車」など。適度に情報がありながらも、個々の情報に関して、特に注意を払う必要がない環境である。脳は、全く情報がないと、さみしくなってしまう。しかし、絶えず情報が入ってくると、情報処理に精一杯で、アイデア会議どころではなくなってしまうのだ。情報収集し、考え抜いた土台で、ふっと余計な情報を制限する。すると脳は、効果的に機能するのだ。


参照:「脳が冴える15の習慣」(築山節著・生活人新書)、「プロフェッショナルたちの脳活用法」(茂木健一郎著・生活人新書)

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