2008年10月10日号
本学でCOEシンポ開催
英語教育のあり方議論

慶應義塾大学英語教育シンポジウム「英語教育の新時代―『英語が使える日本人の育成のための戦略構想』を超えて―」が九月十五日、三田キャンパス西校舎ホールで行われた。このシンポジウムは、文部科学省が策定した、英語教育に関する「戦略構想」と「行動計画」を見直し、教育におけることばの問題を根源的な部分から検討しようというもの。
第一部では、大津由紀雄本学教授と津田幸男筑波大教授、山田雄一郎広島修道大教授の三人が講演を行った。本シンポジウム主催者の大津教授は、戦略構想の考えとその評価について整理し、戦略構想は学校教育のあり方を偏に英語運用能力への社会的要請という観点だけから規定していると指摘。英検、TOEIC、TOEFL等の「数値目標」の重要性は十分な検討がされておらず、数値目標の達成だけが目的化している危機的状況があると訴えた。
また、そうした英語志向教育によって「ことばを使える日本人」の育成が危うくなりつつあり、母語を主な手段としてことばの気づきを育成する言語教育が不可欠と強調し、テープを用いて英語教材における英語と国語を有機的に連携させる方法を提言した。
第二部では、「英語教育政策の未来」と題したパネルディスカッションが行われた。その中で江利川春雄和歌山大教授は、現在の教育政策の基本綱領が、日本経団連が出した「グローバル化時代の人材育成について」に基づいていることに着目。財界人たちが自民党などの政策実施状況を五段階評価し、それをもとに政治献金を配分することで、大企業本位の政策誘導をしていると批判した。また、その代案として、生徒が生徒に教えあう協同学習を紹介し、学びの共同体創りを提案した。
会場には、学校教師など教育関係者ら五百四十名をこえる聴衆がつめかけ、今後の英語教育のあり方を学んだ。