2008年08月10日号
通教生へメッセージ
法学慶友会会長
伊藤 剛 氏

得た知識の実践が要
試験も終わり、落ち着きを取り戻した夏のキャンパスで、今年も夏期スクーリングが始まった。普段は、一人で学習することが多い通信教育課程生(通教生)にとって、スクーリングはともに学ぶ仲間や教授と再開する貴重な場でもある。今回は、法学慶友会の会長を務める伊藤剛氏に、通信課程の特徴や魅力について、語ってもらった。慶友会とは、全国各地に存在する通教生が、学生間の学習上の啓発を目的として自主的に結成している学生団体。
自己実現可能な通信
――通信で学ぼうとしたきっかけは。
私は役所で働いています。社会人として学ぼうとしたきっかけは、仕事の必要性にかられ中小企業診断士の資格を取りました。仕事は産業政策全般に及び、コンサルタントとして踏み込んでいくことになります。その中でどうしても法律の知識が必要となってきましたので、慶應大学法学部へ入学しました。
――慶應についてどう思いますか。
ある程度、自由な校風がいいですね。福澤先生の「人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」という思想が、脈々と流れています。そして、一流の先生から学ぶことができます。日本トップレベルの大学として、学問の最前線に位置する先生が多数おられることです。
――通信課程の魅力は何ですか。
通信で学ぶ人は社会人が多いのですが、いったん社会に出ると、いろいろな知識の必要性を感じます。ポイント的な知識習得なら各種セミナーでもできます。しかし、体系的な知識習得は大学でないとできません。実体験を踏まえた上で講義を聞くと、今まで点でしか捉えられなかったものが、線としてつながっていく感覚があります。だから、大学は二、三回入学しても面白いです。また、塾生は二十代から八十代までいます。そのように、様々な経歴を持った人たちがいます。月に一度の学習会などで集まったとき、いろいろと情報交換ができてとても刺激を受けます。
そして、広い意味での自己実現が可能です。異業種間で、学友としてつき合えるのは大きなメリットですね。通信教育過程は、単なる単位取得による卒業だけでなく、しっかりとした人脈を作ることができます。そして、そのようなつき合いを通して、人間力を高めるための素晴らしいフィールドになっています。

――逆に、通信の難しさは何でしょうか。
慶應の通信は、卒業率が数%と非常に厳しいです。一つは、孤独になることですね。一人で本を読んで、レポートを書いて、試験を受けて、という感じです。そしてレポートは、再提出が当たり前、添削には妥協がないですね。先生によっては、五回から十回もあります。
これは慶應ならではのことかもしれません。他大学は、通学課程と通信課程は別組織です。しかし、慶應は通学と通信の先生が一緒です。そして、卒業すると通学と同じ扱いになります。だから、妥協がないのだと思いますが、大学の通信教育過程で一番人気は慶應です。
――法学慶友会の方針は。
いま、法学部を主とする塾生が三百三十九人所属しています。法学慶友会の目的として、二つあります。一つは、「半学半教」の精神です。これは、先輩及び知っている人が教えてあげるということです。だから、卒業したら終わりではなく、塾生に学習のノウハウなどの指導をお願いしています。
もう一つは、やはり「独立自尊」の精神です。会におんぶで抱っこではいけません。自分で勉強せず、安易な単位取得の情報だけもらおうとする人には、理由を伝えて辞めていただいています。これは、厳しいと言われることもありますが、やはり自分の脳みそに汗をかかないと意味がないと考えています。
――どのような人が通信で学んでいるのですか。
昔は、大学の学位のほしい人が多かったと思います。しかし今は、慶應大学OBをはじめ他大学卒など学士入学が多くなっています。職種としては、例えば、医師です。最近は、医療事故なども騒がれているので、法律の知識をきちんと勉強したい。また、理工学部卒で製造業に従事され活躍されている人だと、知的財産権についてしっかりと勉強したい。一方、六十歳以上の人は、生涯教育として行う人が多いですね。
通信生は、社会経験から出てくる疑問を知りたいので、学ぶ意識がとても高いのが特徴です。自分でしっかり目的を持って学んでいます。
――先生との関係も変わりますか。
通信は、先生と学生の年齢が近いので、良い意味での懇親が深められることです。もちろん塾生としての立場は踏まえたうえで。先生によっては科目の最終日に懇親会を開催されることがあります。塾生といっても社会人なので、社会の第一線で活躍されている人たちなので先生にとっても刺激になるというようなお話を聞かせてもらったことがあります。近ごろ、産学官連携ということが言われます。でも、このように通信で先生と塾生が交流していけば、大げさな予算を取らなくても、産学官連携は可能だと思います。
――通信を卒業する秘訣は。
仕事をしている人、子供の育児でたいへんな人、伴侶の介護がある人などは、勉強時間の確保が大変です。朝、二時間早く起きて勉強するといっても、現実としては難しいです。だから、私がよく言っているのは、スキマ時間を使うことです。例えば、昼休みに十五分ぐらいで昼食を済ませ、残り四十五分を勉強する、トイレにいる十分で勉強する、待ち合わせのときに待ち時間の二十分で勉強する、とかです。まとめて時間をとるのは不可能なので、そうやって細切れの時間をつなぎ合わせて学習時間を確保することがコツです。
――最後、塾生にメッセージを。
慶應大学は誇りを持てる大学です。三田会は、質・規模ともに他の大学を圧倒する組織です。三田会のネットーワークで、仕事がよりうまくいくケースも多いので是非三田会に加入しましょう。世の中が広がりますよ。最後に、大学生活は通過点です。得た知識を早く実践して、世の中のために役立てましょう。
【いとう・つよし】
長崎県生まれ。平成5年法学部卒。中小企業診断士。現代行政研究会幹事。南島原市役所企画振興部で産業政策に携わる。
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