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2008年08月10日号

ノーベル賞科学者が講演

  本学から名誉博士号
   疑問投じる大切さ語る
ノーベル賞講演会.jpg

 創立百五十年記念「UK-Japan2008英国人ノーベル賞受賞者によるレクチャーシリーズ」の第四回目講演会及び、サー・ハロルド・クロトーに対する慶應義塾大学名誉博士の称号授与式が七月十一日、三田キャンパスで行われた。この講演会では、慶應義塾が創立百五十年と日英の外交関係百五十年を記念し、とりわけ科学とイノベーションの分野で卓越した才能を開花させた英国人ノーベル賞受賞者を招いている。

 まず三田演説館で授与式が行われ、ワグネル・ソサイエティ合唱団のコーラスの中、サー・ハロルド・クロトーが入場。真壁利明理工学部長が推薦文を朗読し、続いて安西祐一郎塾長が名誉学位記を授与し式辞を述べた。サー・ハロルド・クロトーは挨拶で、福澤諭吉が教育に果たした役割に触れ、現代のグローバルな教育の大切さを強調した。

 引き続き、北館ホールに場所を移して「科学、社会、サステナビリティ」をテーマに講演が行われ、サー・ハロルド・クロトーが自身の幼少年時代の話や科学に対する考えについてユーモアを交えて語った。

 講演では初めに、模型玩具メカノボールの組み立てによって科学に興味を持ったことや、趣味としていた本のデザインやグラフィックなどの芸術性が科学への興味につながったことを紹介し、科学だけでなく色々なことに取り組むことの大切さを語った。

 また、科学への考えに対して触れると、サイエンスは独立した唯一の真実であり、よって科学者の重要な側面は、信念や宗教などに関係なく国際的に誰でも貢献できる点にあると強調した。

 続いて、自身が発見した炭素物質フラーレンについて太陽電池の能力改善や印刷技術への応用が考えられると説明し、ナノテクノロジーへの理解の重要性を語った。その一方で、日本などの最近の若者に見られる反科学、反知的な動きを憂慮し、子どもたちの可能性を閉ざしてしまうと指摘した。

 そして、近年の環境問題についてはサステナビリティ(持続可能性)が重要であるとし、科学の応用によって太陽エネルギーや資源のリサイクルを可能にすれば十分に解決していけると自身の考えを述べた。

 講演後には質疑応答の時間が持たれ、その中でサー・ハロルド・クロトーは「科学は疑問を持つことから発展してきた。ぜひ学生たちには何事にも疑問を投げかける習慣を持ってほしい」と訴えた。

サー・ハロルド・クロトーは、ヘリウム中で黒鉛をレーザーによって蒸発させることによって炭素原子六十個から構成される中空構造の球状新物質フラーレンを発見し、一九九六年にその功績を称えられてノーベル化学賞を受賞。また、二〇〇七年には全米科学アカデミー会員に選出された。

 このほかにも、フラーレンの発見に至る研究の中で、炭素とリンの原子の二重結合の発見や、星間ガス雲中での長鎖炭素関連分子の同定など、数々の新物質の発見をしている。

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