2008年07月10日号
サミット特集 G8大学サミットで大学界も議論
持続可能性を討論
各国首脳に宣言文を提出

地球規模で進む温暖化対策に向けて、学界においても世界各国の大学首脳を集めて議論するG8大学サミットがこのほど発足した。ここでは、大学サミットの概要と採択された宣言内容、また、G8サミットで議論された主要テーマをまとめてみたので参考にしてみてほしい。
今回のG8大学サミットは、「グローバル・サステイナビリティと大学の役割」をテーマに、地球規模での持続可能性(サステイナビリティ)実現のために大学が果たすべき責務と、それらを達成するための具体的な取組みについて議論し、学術界から国際的な努力を促進することを目指して開催された。
参加大学は、G8各国の二十七大学(うち慶大、東大など日本十四大学)およびその他六カ国(中国、インド、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル)の七大学、ならびに国連大学を含めた計十四カ国三十五大学。世界各国の学長や総長など約百四十名が参加し、安西祐一郎塾長はサミット運営会議副議長を務めた。
サミット初日にはウェルカムパーティーが開かれ、佐伯浩北大総長の挨拶に始まり、渡海紀三郎文部科学大臣の祝辞、サミット運営会議議長の小宮山宏東大総長によるスピーチなどが行われた。
二日目は、まず総会において問題提起が行われ、続いて「グローバル・サステイナビリティを支える新しい科学的知識と国際研究ネットワーク」および「グローバル・サステイナビリティのためのナレッジイノベーションと教育」の二つのサブテーマごとに分科会が開かれ、世界各国の大学首脳陣が議論を深めた。なお、会議の開催に当たっては、福田康夫総理大臣からもメッセージが寄せられた。
三日目の最終日には、前日の分科会のまとめ発表が行われ、その後の総会で会議結果をまとめた「札幌サステイナビリティ宣言」が採択された。
閉会後には記者会見が行われ、その中で小宮山東大総長は、非G8の大学から「もっと強いコミットメントを持ちたい」という意見が多く挙がったことを紹介し、世界が人類の危機に対して強い意識を持っていることの表れだ、と総括した。
また、安西塾長はこれからの時代の大学の役割について、学問の枠を超えてもっと大きなグローバルな課題に対して協働して研究を深めること、大学院生、学部生を問わず学生たちが国、大学を超えて共通の議論ができ、共通のテーマに取り組めるような環境をつくっていくこと、と意見を述べた。
なお、総会で第二回目のG8大学サミット開催の意向が合意され、次回は二〇〇九年G8首脳サミットが開かれるイタリアで行われることが決まった。

宣言文概略
宣言ではまず、自然環境や社会経済システムにおける地球のサステイナビリティの重要性と、大学がその問題解決に重要な役割を担っていると述べる。そして、現実的かつ的確な解決策を提示するには科学的知識と、市民や企業など幅広いステークホルダーとの協力が必要であり、さらに学際的研究によって統合的なアプローチをすることが求められるとしている。
その具体策として、既存の研究ネットワークを相互補完的な包括的連携ネットワークへ統合化することや、サステイナビリティ実現に伴う社会変革を後押しするための知識と情報を形成することで、知識が社会に影響与えるナレッジイノベーションを推進していくことが挙げられた。
また、将来世代の高等教育に関して、とくに国や地域特有の問題を解決する能力を持つリーダー育成の必要性は高く、各国・地域でサステイナビリティについて啓発していく質的量的に発展した高等教育が重要としている。
さらに、大学におけるサステイナビリティ実現に向けた役割として、サステイナビリティに関連する先端知識を実際に実用展開する実験場としてキャンパスを活用することも提案された。そして大学を社会の実験の場にすることで、将来のサステいナビリティ社会を担っていく学生たちに必要なスキルや行動様式を育むことができるとしている。