2008年05月10日号
三田文学新人賞 多田真梨子さん

感動与える小説家に
第15回三田文学新人賞の授賞式が4月19日、三田キャンパス北館カフェテリアで行われた。今回受賞したのは、本学塾員でもある多田真梨子さん。授賞式当日、多田さんに受賞しての感想や今後の抱負などを聞いた。
――受賞しての感想は。
電話が掛かってきて「君が受賞したよ」と言われたときは、正直ものすごく驚きましたね。本当に自信がなくて、選考の中に入ればいいと思っていましたから。でも、だんだんと自分に自信がついてきました。
また、三カ月くらい構成を練って書いた作品だったので、それが報われたんだと思ったら作品がものすごく愛おしくなって、感動の気持ちに変わりましたね。
――執筆を始めたきっかけというと。
小説家になりたいと思ったのは、中学のときです。国語の先生に、高校生の間で人気だからと、ある本を薦められたんです。それが長野まゆみという小説家との出会いでした。分かりやすくて、かつ妖艶な感じのする小説で、ものすごい衝撃を受けました。
そこでファンレターを書くようになって、返事は全然期待してなかったのですが、なんと私の誕生日に返事が返ってきたんですね。そのときに初めてうれし泣きをしたのですが、うれしくても涙って出るんだと思ったときに、私も人に感動を与えられる小説家になりたいと思ったんです。それから小説を書き始めるようになりました。
――今回の作品に込めた思い、意識したことは。
やはり、小説の中に出てくる“舞子の棚”です。私の中ではすごく斬新で、ぜひ読者の方にもその斬新さを分かってほしいですね。
それと、主人公の地元の方言を入れることによって、主人公が背伸びをしていることを表現しました。東京に来てまるで東京の人のように振舞っているけど、実は田舎の娘なんです。そうした表現を入れることによって、作品に人間味を出せたと思います。
書く上で意識したことは、極力自分の感情を消して、読んでもらいたいところを自分で考えながら書いたことです。自分の思いばかりを書いてしまうと、感情に流された文章になりますし、小説ではなく日記になってしまいます。

――今後の抱負を。
小説を書き続けることは絶対条件で、その努力を怠らないことです。また、いろいろな経験をして、それを見逃さない。すごく些細なことでも日頃からアンテナを張っておけば、そこで感じたこと、気づいたことを小説の表現に生かすことができます。
最終的には、どこかの出版社で、三田文学とは違った作品を書いて自分を試してみたいと思います。特に、若い世代をターゲットにした作品で、若い子たちを感動させてみたいですね。
――塾生にメッセージをお願いします。
やりたいことをやったほうがいい。自由なのは大学の時だけですから。自由がないとみんな言いますけど、実は自分が自由なことに気づいてないだけです。授業のないときに寝てたりとか、バイトをやったりとか、無駄な時間はすごくいっぱいありますよね。大学が終わってから、あの時やっておけば良かったなと思うときは絶対くると思います。
とにかく、自分のやりたいことに失敗してでもいいから挑戦してみてください。