2007年01月10日号
31才の若さで評議員に就任 西富亮介氏に聞く
現役世代の代表として
本学の最高議決機関である評議員会のメンバーに、コンサルティング会社に勤める塾員、西富亮介氏が三十一歳という戦後二番目の若さで就任した。欠員に伴う繰り上げ当選によるもので、大企業のトップや政治家などの大物OBが評議員の大多数を占める中、若い現役世代が塾運営を活性化する期待が高まる。立候補の経緯や今後の抱負について、西富氏に話を聞いた。
ー―評議員に立候補した経緯をお聞かせ下さい。
評議員会は義塾の最高意思決定機関で、塾長や常任理事によって構成される理事会の上位に位置します。その定数百人のうち、塾員による直接選挙で選ばれる卒業生評議員の枠が三十人あり、塾員であれば誰でも、百名以上の推薦を集めれば立候補することができます。とはいえ実際の立候補者のほとんどは、理事会推薦の大企業の経営者で占められます。しかし、卒業生評議員の意義は塾員の多様な意見を反映する機能にこそあると私は思います。だからこそ、推薦人を集めて立候補する人がもっといてもいいと思っています。
ただ、実際のところ、個人で立候補しようとすると、色々なしがらみがあることもあり、なかなか恐ろしくて出ることなどできません(笑)。その点、私は立候補については比較的しがらみの少ないフリーな立場と言えます。誰かに多大な迷惑をかけることなく、一般塾員の意見を反映させるという評議員選挙の本来的な意味を、私の立候補により少しでも実現できるのではないかと思って立候補しました。
また、そもそも私は昔から大学の管理運営に興味を持っており、評議員になることで、義塾でどのような意思決定が行われているかが分かる、ということも立候補した理由の一つです。
――実際の評議員会の様子は。
私立学校法上では、評議員会は単なる諮問機関に過ぎませんが、義塾ではその位置づけが異なり、最高議決機関として重要事項について、その議論が大学の方針を決定します。
ただ、実際に評議員会の場に列席して評議員の間でしっかりとした議論が行われているのは正直驚きでした。当初はもっと形式的かと思っていました。今回最も大きな議題だった共立薬科大学との合併協議の件においても、共立薬科と義塾の組織風土や雇用体系の違いといった課題について、しっかりその問題点を指摘する意見が挙がっていました。
――今後の抱負を。
評議員会の中で何が行われているかをできるだけ外へ発信するとともに、評議員会の中で現役バリバリの世代としての意見を発言できればと思います。
私以外の圧倒的多数の評議員は、卒業して三、四十年経っており、企業社会やビジネスはご存知でも、現役の三十代四十代、そして塾生が何を欲し、関心を持っているかについて、吸収できる機会はそれほど多くはないと思います。その点については、私が現役世代としてできるだけ評議員会で発言することで、義塾そのものが少しでも良い方向に向かえばと思います。また私は、一個の人格として評議員をしていると同時に、一種の「ツール」としても存在しているので、一般の塾生にも世代の近い私をもっと使ってもらえればと思います。
――塾生へのメッセージを。
一般卒業生から母校の意思決定に関わる評議員を選出できるのは、今となっては事実上慶應義塾だけで、その制度があることは覚えておいてほしいし、その制度が維持されている義塾の一員であることを誇りに思ってくれたらと思います。
私が学部時代に学んだことの一つは、「恩を返す」のではなく、次の世代に「恩を送る」という言葉です。確かに、縦のつながりにはわずらわしく感じる部分もあるかもしれませんが、そこで学べることはとても大きく、逆に横のつながりで何とかなるのは大学までです。いわば、横の関係から縦の関係への移行の時期が大学生活であるわけで、それを体感する場としてゼミやサークルがあるともいえます。今は縦との関係を学べないままに社会に出てしまうことが多いのではないでしょうか。ただ塾の先輩後輩というだけでフランクに接してくださるのは、他の大学には全くないことですね。
慶應では、教職員と塾生、塾員を併せて「社中」と表現しますが、その一員であると実感できることにできればもっとコミットしてほしいですし、卒業後は、今度は自らが塾生を「恩を送る」ことでサポートしてあげれば、その輪はきっと広がります。その輪に加わり、広げていくことこそ慶應にいることだと思います。
【にしとみ・りょうすけ】1999年慶應義塾大学法学部政治学科卒業、メディア・コミュニケーション研究所(旧新聞研究所)修了。現在トーマツコンサルティング(株)マネージャー、東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コース修士課程2年。情報セキュリティ大学院大学客員研究員。06年11月本学評議員に就任。
copyright(C) keiocampus newspaper 2004-2006;