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2007年01月10日号

『昭和史 戦後篇』 半藤一利著、平凡社

歴史を見通す目が必要

 昭和二十七年に文藝春秋社に入り、「週刊文春」「文藝春秋」の雑誌記者として戦後社会を見てきた著者が、政治をメーンに事件や風俗を絡め、戦後史を面白く語っている。

 立憲天皇制を軸とした富国強兵の明治の国づくりは、世界史の奇跡といえるほど成功したが、先の敗戦で挫折する。今の日本人の大半が育った戦後は、象徴天皇制を軸にし、強兵を捨て富国のみを求めてきた。それも、奇跡的な復興から高度経済成長を達成したが、バブル崩壊で再び挫折する。今は、再出発した日本がどこへ向かうべきか、目標を定めかねている状況だ。昭和史を学ぶ必要も、そこにある。

 戦後日本の設計者は、第一にマッカーサー。軍人でありながら驚くほど理想主義者で、憲法九条の平和主義を高く評価する。もっとも、間もなく米ソ冷戦が始まったことで、米大統領の命令で日本の再軍備を模索する。それに徹底して抵抗したのが吉田茂首相。GHQ(連合国軍総司令部)が押し付けた憲法を盾に、軽武装、経済優先を貫く。そして、防衛を米国に依存する片務的な日米安保とセットで独立を回復、国際社会に復帰する。

 それを「普通の国」に戻そうと努力したのが鳩山一郎、岸信介両首相。念願の憲法改正が果せなかった鳩山は、日ソ国交回復を実現、岸は日米安保を双務的な条約に改定した。どれも政治的に重いテーマで、とりわけ後者は、安保闘争で国民的な混乱を招いたことから政治不信が強まった。

 次の池田勇人首相が「所得倍増計画」を掲げ、政治から経済へと国民の関心を鮮やかに転換させた。そして高度成長を迎え、公約どおり日本のGNPは倍増する。著者は「戦後」の終わりを、昭和四十七年の佐藤栄作首相による沖縄の本土復帰に見る。

 政治とは、人が人を動かすこと。日本人は人に動かされ過ぎて、何度も間違ってきた。動かされない自分になるには、何より歴史を見通す目が必要だ、と著者は言う。(T)【税込一八九〇円】

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