2006年11月10日号
京都造形芸術大副学長・塾員 千住博氏が特別講演
十月二十四日、日吉キャンパス来往舎イベント・テラスで、塾員で京都造形芸術大学副学長の千住博氏による特別プレ・レクチャーが行われた。これは、クリスト&ジャンヌ=クロード講演会の関連企画として、それに先立って行われたもので、「芸術とは何か?クリスト&ジャンヌ=クロードの魅力」と題して、約二時間にわたる講演が行われた。
氏はまず、自身が活動拠点としているニューヨークについて触れることから、芸術を紹介。多くの芸術家が集まってくるニューヨークを知れば、芸術の本質が分かってくるとして、三つのポイントを説明した。
第一に、ニューヨークは、夏は四〇度、冬はマイナス二〇度と、一年の温度差が六〇度にもなることから、この街では健康、健全でないと生きられないと語り、実は、芸術は非常に「体育会系」的であると述べた。次に、ニューヨークは様々な国籍、宗教、思想が混在し、異なる他者に囲まれた環境であるため、そこでは相手に自分を伝え、また相手の言いたいことを聞き取っていく力が必要であるとし、芸術とは「わからない人に、何とかしてわかってもらう方法」であり、ニューヨークそのものが芸術的存在だと述べた。三番目には、世界の文化の発祥地では、芸術と金融が共存しており、ニューヨークもまさに、その通りの街であると説明した。
次に、氏は「芸術とは何か」を知るには、料理を考えれば分かりやすいと話し、料理とは、料理人が「おいしく食べさせたい」と思って作るものであり、同様に、芸術も「自分のイマジネーションを相手とコミュニケーションすること」であり、「何とかして自分を伝えたいという心」だと強調した。また、美しいときれいの違いについても触れ、きれいとは「きれいに片付ける」「整理整頓する」ことであるのに対し、美しいとは「五感で感じるもの」だと説いた。
さらに氏は、近年の日本についても言及し、高度成長期の日本には、芸術が置き忘れられ、そのことがイマジネーションやコミュニケーションの不在を招き、目を覆うような様々な事件を引き起こす要因になっていると論じた。だからこそ二十一世紀には芸術が必要だと訴えた。
これらの観点の下に、最後に、クリスト&ジャンヌ=クロードについての紹介を行い、「現代世界のアートシーンにおいて最も大切な芸術家」であると評し、その作品には「過去・現在・未来」があると語った。
講演は途中、実際に千住氏が絵を描きながら進められ、終了時には白い滝の絵が完成した。
なお、千住氏は、義塾の創立百五十年の記念ロゴマークを描いている。
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