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2006年08月10日号

「ユナイテッド93」

9・11、機内での真実

 二〇〇一年九月十一日に起こった同時多発テロ。四機の航空機がハイジャックされ、三機はターゲットに激突。しかし、唯一、ユナイテッド航空93便だけは、目標に到達することなくペンシルバニア州に墜落し、全員死亡という最期を遂げた。いったい、ユナイテッド航空93便の中では何が起きていたのか。「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラス監督が、乗員と乗客らが機内で経験した事実をドキュメンタリータッチで描いた衝撃作。出演者は、実際の搭乗客の年齢などを考慮し、無名の俳優たちが選ばれ、さらに、事件当日、特に重要な任務を負った航空管制センターのベン・スライニーが本人役で参加している。映画は、亡くなった乗客の家族・友人や、航空管制官、軍関係者らに行った膨大なインタビューをもとに作られた。
   ◇    ◇
 二〇〇一年九月十一日。ニューヨーク空港発サンフランシスコ行きのユナイテッド空港93便は、朝の離陸ラッシュに巻き込まれ、予定時刻を三十分ほど遅れて出発しようとしていた。機内には四十名の乗客乗員が搭乗。まさか、その中にテロリストが紛れていようとは、誰も想像すらしていなかった。

 最初に異常に気付いたのはボストン管制センターだった。通信が途絶えていたアメリカン11便から「操縦室を制圧した。静かにしろ」という声が聞こえてきたのだ。その情報は、防空指令センターにも伝えられ、臨戦態勢がとられた。やがて、アメリカン11便の機影がマンハッタン上空でレーダーから消えた。防空指令センターは戦闘機の緊急発進を発令。その時、ワールドトレードセンター北棟に航空機が激突。それがアメリカン11便だった。各管制センター、軍、民間報道の間で情報が錯綜する中、今度はユナイテッド175便が通信不能に。標的はワールドトレードセンター南棟だった。あまりの状況に、誰もが言葉を失う。

 一方、ユナイテッド93便の機内では朝食が出され、穏やかなフライトを続けていた。そこへ突然、テロリストたちが動き始め、爆弾を持って操縦室を占拠。機内は混乱状態となる。地上と連絡を取り合った乗客たちは確信する。これは自爆テロであり、自分たちの機もどこかのターゲットに向かっていることを。ちょうどその頃、ハイジャックされた三機目が国防総省に墜落したという情報が各所に入っていた。

 絶望の中で乗客乗員たちは、わずかな武器を手に立ち上がることを決意した。何もしなければ結果は分かっている。そして、それぞれが地上にいる家族に電話で最後のメッセージを残した。「愛しているよ」。
【8月12日公開予定】

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