2006年07月10日号
脊髄損傷 新治療法開発に期待
神経系細胞の働きに着目
本学医学部の岡野栄之教授や中村雅也講師らの研究チームは、これまで神経軸索の再生を邪魔していると考えられてきた神経系細胞が、実は損傷された中枢神経系の機能修復に寄与していることを明らかにした。新たな脊髄損傷の治療法につながる可能性のある成果で、米医学誌「ネイチャー・メディシン」の電子版に六月十九日発表された。
脊髄が損傷を受けると、その周辺に炎症が広がるなどして損傷部位は拡大する。損傷後、約一週間の時期には、炎症部周辺へ「反応性アストログリア」と呼ばれる細胞が集まるため、これが神経の再生に対して阻害的な働きをすると考えられていた。
研究チームは、「反応性アストログリア」を活性化する転写因子を作れないマウスを用い、脊髄を損傷させたところ、通常のマウスに見られる損傷部の初期の修復が起きず、機能が回復しなかった。逆に、この転写因子を活性化した脊髄損傷マウスは、通常のマウスより早く損傷部が修復したうえ、下肢の運動機能が改善した。この結果より、「反応性アストログリア」が炎症部位の拡大を防ぎ、神経組織の修復を促すものと判断した。
今後、有効な治療法がない脊髄損傷に対して、新しい治療法の開発につながるものと期待される。
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