2005年01月10日号
塾風満帆
情報通信大手ソフトバンクのプロ野球参入が、十二月二十四日に開かれたオーナー会議で正式に決まった。史上初めてストライキまで行われた球界再編問題は、楽天に続きIT(情報技術)企業がパ・リーグに加わり、年内で決着がついた▼「監督、選手、ファンを含めてビジョンを共有することが一番大事。その意味で世界チャンピオンシリーズを目指す、世界一の球団になりたい、という思いを共有したい」。ダイエーから球団を譲り受けて新オーナーになる孫正義社長は、共同通信社のインタビュー取材に対し、あふれる熱意を言葉に込めた▼彼は、都内のある講演で、こんなことを語っている。「まず、理念があり、ビジョンがあり、それを実現するために戦略がある。理念やビジョンのない戦略は成功しない。金も人も集まって来ないからだ。理念に共鳴し、ビジョンを共有して初めて人やモノや金が集まってくる。これが一番大事なことだ」▼振り返ってみると、大きなことを成し遂げた人物は皆大きな夢とビジョンを持っている。ご存知、マイクロソフトのビル・ゲイツもその一人だ。彼は学生時代、「誰もがコンピューターを自分の家庭で使うことができるようにしたい」という夢を抱いていた▼孫社長にしろ、ビル・ゲイツにしろ、彼らの活動の根底に、ある一つの共通点を見出すことができる。つまり、「社会のために生きていきたい。周囲の人に喜んでもらいたい」という熱意が彼らの中にはある。そのような利他心こそが、様々な「夢」をかたち作る原動力となっているのだろう▼私たちには、どういうわけか、嘘・偽りを排し、清く正しいものを願う心が備わっている。そして、利他的に生きる人々に自ずと人間の心は引っぱられていくようになっている。国のため、世界のために、ひたむきに努力を重ねていく姿が人を感動させ、社会を明るい方向へと転換させていくのだと思う。