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2009年08月10日号

皆既日食イベント

日食ライブを中継
  塾生らステージで”共演”
日食.JPG

 慶應義塾創立百五十年記念イベント・皆既日食中継イベント2009が七月二十二日、日吉キャンパスと新川崎タウンキャンパスで開催された。日本領域内(陸地)では四十六年ぶりの皆既日食で、観測できるアジア四地点(中国の武漢、上海、日本の渥美大島、硫黄島)からの中継を用いて、神秘的な現象を共有した。

 日吉の協生館二階藤原洋記念ホールでは、「ライブ エクリプス」が開催された。テーマは、「日食と人間のコラボレーション」。宇宙の神秘と人間の可能性を伝えることを目的に、天文学的な現象である皆既日食と、人間が作り出す表現を、同じステージの上で共演させた。出演は、ワグネルソサイエティオーケストラとダンスパフォーマーのdai5。


 観測地点の上海はあいにくの雨、また渥美大島も雲が厚かった。しかし、武漢と硫黄島は、きれいな皆既日食が観測された。来場者は、HD高画質の映像による鮮明な皆既日食の様子に歓声を上げていた。また、皆既日食を背景に、出演者から繰り出される音色と身体表現を堪能した。


 協生館三階のCDFルームでは、G-COE/システムデザインマネジメント研究科(SDM)共催シンポジウム「太陽活動と地球環境―なぜ生物は地球に住めるのか―」が開催された。


 シンポジウムでは、三人が講演。本学体育研究所の鳥海崇氏は、「日食の概要と月探査の現状」について語った。宇宙航空研究開発機構の矢野創氏は、「私たちが地球に生まれた理由―宇宙における『生存可能領域』とは何か―」をテーマに講演。国立天文台太陽天体プラズマ研究部の真柄哲也氏は、「ひのでが解き明かす最新の太陽像」について話した。なお、”ひので”とは、新型の太陽観測衛星のこと。


 その後、三人の講演者に加えて、SDM教授の日比谷孟俊氏が登壇。来場者からの率直な疑問や専門的な質問に応えた。最後は、「私たちがなぜ地球に住んでいるのかを考える一日にしてほしい」という言葉で締めくくられた。


 一方、協生館二階の多目的教室2では、ユネスコ認定イベント「グローバルキッズエクリプス2009」が行われた。地域の小学六年生たちが参加。中継で海外の子どもたちと、同時に日食を観測し、文化交流を深めた。子どもたちは、積極的にクイズや交流に参加し、楽しんでいた。


 当日は、塾生や地域住民など、約八百人が来場。どの会場も満席で、世紀のイベントを満喫していた。

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福沢諭吉展 開催

大阪展が一般公開

 「未来をひらく福澤諭吉展」大阪展が八月四日、大阪市立美術館で一般公開された。本展は、「異端と先導」をテーマに、幕末明治という激動の時代に、革新的な活動を展開した福澤先生に焦点をあてた展覧会である。先生は「大阪生まれ、適塾育ち」で、東京・福岡に続き、ゆかりの地での開催となった。


 会場には、福澤先生の遺品や自筆草稿などが展示。ほか、阪急東宝グループの創始者・小林一三や武藤三治など、門下の経済人が所蔵していた美術コレクションや義塾ゆかりの名品などが紹介される。また、大阪会場ならではの企画として、適塾に関する資料なども展示している。


 なお、福岡展に引き続き、来場した小・中学生には、福澤展オリジナル「学問のすすめノート」をプレゼントしている。また、会期中には、塾員の藤岡幸夫と関西フィルハーモニー管弦楽団メンバーによる特別コンサートなど、各種企画も開催される。会期は、八月四日から九月九日まで。

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小・中学校の開設延期

財務赤字拡大の影響で

 慶應義塾で計画中だった新しい小・中学校(横浜市青葉区)について、開設時期の延期が七月二十一日、慶應義塾評議員会で決定した。これは、創立百五十年記念事業の一つとして、計画されていたもので、二〇一一年四月の開設を予定していた。


 延期は、財政状況の変化を受けて、創立百五十年記念事業全体の見直しを行うことになったことが原因。慶應義塾は、昨年からの金融危機の影響で、二〇〇八年度の収支決算において、保有する有価証券の含み損が五百三十五億円に拡大し、二百六十九億円の赤字になっていた。


 義塾の一貫教育校において、小学校は幼稚舎のみ。義塾初の小中一貫校、また東急田園都市線沿線という場所柄のため、受験生や受験業界から注目を集めていた。また、建設予定地は、横浜市が私立学校建設地として公募した中から、義塾が選ばれたもの。そのため、横浜市としては、一刻も早い開設を希望している。ただ、いまのところ、対応を変えることはないという。


 なお、新たな開設時期について、慶應義塾は「可及的速やかに着工することを前提として現在検討中」としている。

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先天性心疾患の共同研究

原因遺伝子を発見

 本学医学部小児科研究グループが、先天性心疾患を引き起こす新たな原因遺伝子を世界で初めて発見し、その研究成果が八月四日、「米国科学アカデミー紀要」オンライン版に公表された。先天性心疾患の分子・細胞レベルでの再生医療発展の足がかりとして、期待されている。


 これまで、本疾患の約九割は原因不明。一部の染色体異常症を除いて、重症先天性心疾患のひとつである総動脈幹症の原因遺伝子は未解明だった。本学医学部小児科の山岸敬幸専任講師と古道一樹大学院生らは、東京女子医科大学・国際統合医科学インスティテュート(IREIIMS)の松岡瑠美子教授らとの共同研究により、転写因子GATA6の遺伝子変異が、総動脈幹症の原因であることを突き止めた。


 先天性心疾患は、新生児の百人に一人に発生する最も頻度の高い先天異常の一つ。内科的および手術治療が向上している現在でも、新生児・乳児死亡の主要な原因となっている。

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物理五輪で金

 第四十回国際物理オリンピックに参加した慶應義塾高等学校三年・蘆田祐人君が七月十九日、金メダルを受賞した。本コンテストは、各国から高校生などが参加。物理学に対する興味関心と能力の向上とともに、国際的な交流を通じて、参加国の物理教育の発展を目的。


 日本は、二〇〇六年から参加し、今回で四回目になる。今年は、七十二カ国・地域から三百十七人が参加。メキシコで、七月十一日から十九日の期間で行われていた。日本からは五人が参加し、全員がメダル獲得という好成績だった。


 快挙を成し遂げた蘆田君は、「“淡い期待”に応えられたことが素直に嬉しい」とコメントした。

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電気バスの共同開発進める

清家塾長ら会見 CO2・コスト削減に期待
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 次世代電気バスの開発・普及事業を、いすゞ自動車、東芝、神奈川県、本学など、産官学共同で行うことが八月六日、三田キャンパスの北館ホールで発表された。本学が車体構造の技術提供、いすゞが車体の設計、生産・販売、東芝が電池(バッテリー)の製造、神奈川県がインフラ整備を進める。一一年一月を目標に、神奈川県全域で、試作車による実証実験を行う予定。

 会見には、塾長の清家篤氏、環境情報学部教授の清水浩氏、環境省総合環境政策局長の白石順一氏、神奈川県知事の松沢成文氏、いすゞ自動車副社長の只木可弘氏が出席した。


 清家塾長は、「環境問題は成功のパラドックス。産業・環境に負荷をかけないような経済発展に挑戦していくべき」「(電気バスを開発することで)公共バスが環境負荷を減らすことに貢献できるのは大きい」と述べた。いすゞの只木氏は、「最新の技術を導入することで、バスが生まれ変わるチャンスだ」と意欲を示した。また、神奈川県知事の松沢氏は、神奈川県は大都市をかかえ、公共バス会社が十二社あるなど、電気バスを普及させる土壌があることを説明。「電気バスを神奈川からデビューさせて、日本へ、世界へ普及したい」と抱負を述べた。


 その後、事業の内容やスケジュールについて、清水氏が説明を行った。電気バスの車体には、「エリーカ」の開発で得た研究技術が応用される。インホイールモーターなどを使い、床全体が低くて平らなバリアフリー構造が可能になる。ディーゼルバスから電気バスに変えると、CO2排出が約十分の一になる。また、五百台以上の生産体制になると、ランニングコストも約十分の一に抑えることになるという。


 環境負荷軽減、経済性の向上のみならず、フルフラット構造や走行性能向上による乗り心地の良さが期待されている。


 本事業は、電気自動車の普及を推進してきた神奈川県、路線バスのトップメーカーであるいすゞ、電気自動車「エリーカ」の本学電気自動車研究所(清水氏)が連携し、次世代電気バスの開発・普及を目的とする。環境省の産学官連携環境先端技術普及モデル策定事業として採択された。

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高橋誠一郎の人物像

犬丸氏が講演、理解深める
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 第六百八十八回三田演説会が七月二十四日、三田キャンパス三田演説館で行われた。今回は、塾員で演劇評論家の犬丸治氏が、「演劇人・高橋誠一郎―観客として・先導者として―」と題して講演した。


 講演は、高橋誠一郎の観劇遍歴を紹介しながら、歌舞伎の劇評家や愛好家にありがちな團菊爺(だんぎくじじい、かつての名優を懐かしみ、今の役者や舞台を批判する老人のこと)との違いについて述べた。犬丸氏は、高橋が三田評論への寄稿「エピメーテウス 明治回顧」で、「明治をあまりいい時代とは思っていません」と記述していることを紹介。高橋にとっては、戦乱の明治という実感であったとした。そして、自らを育んだ明治を美化することなく、相対化する観点を持っていたと話した。


 高橋は、文部大臣、日本芸術院長、国立博物館長、文化財保護委員会委員長など、戦後の文化行政の要職を歴任している。犬丸氏は、高橋が国立劇場会長を務めたことに対して、演劇人としての証明ではないかと述べた。また、最大の業績として、国立劇場による歌舞伎俳優の養成事業を挙げていた。


 講演の途中では、「甦るオッペケぺー 1900年パリ万博の川上一座」の録音を一部再生。ほか、錦絵や文献などを豊富に紹介しながら、高橋が親しんだ当時の演劇について、紹介していった。


 講演後は、質疑応答も活発に行われた。来場者は、演劇人としての高橋誠一郎像の理解を深めていた。

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新型インフル

三田で1人が発症

 本学商学部(三田キャンパス)の塾生一人が、新型インフルエンザを発症したことが七月十六日午後、確認された。同日の本学ウェブサイトによると、「現時点で、大学内での集団感染が疑われる事例ではない」とされ、その後も通常通り授業、試験および課外活動が行われた。


 新型インフルエンザは、接触後七日間の潜伏期間内に発症する可能性がある。ちょうど、試験期間ということもあり、同じ試験を受けた塾生の感染が心配された。しかし、今のところ、感染者はいない模様。


 今後は、夏期休暇に入り、海外旅行などによる感染機会も増えることが予想される。本学は、海外渡航届、帰国届の提出は、七月一日から当面不要とした。ただ、引き続き、各国の発信する情報等をよく確認の上、渡航等の際には十分注意するように呼びかけている。


 なお、ほかの一貫教育校では、志木校で数人の発症者が確認されている。そのため、同校では、七月十五日から二十日まで、全校休校の措置がとられた。

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外国語教育を議論

境所長「欧州の形参考に」
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 シンポジウム「慶應義塾外国語教育への提言(第三回)」が七月二十五日、日吉キャンパスの来往舎シンポジウムスペースで行われた。これは、義塾の一貫教育を構成する小中高大の教員が一堂に会し、外国語教育の現状と課題について、議論するもの。主催は、本学外国語教育研究センター。


 始めに、清家篤塾長が挨拶。高齢化社会に言及しながら、「自分の頭で考える能力が、これまで以上に求められる。そこにおいて、語力は重要」と述べた。また、自主性・多様性を発揮してきた義塾一貫教育のありかたを、「同一の中の多様」と評した。


 次に、第一部として、当研究センター所長の境一三氏が講演。CEFRの理念とAOPプロジェクト(※)について語った。まず境氏は、当研究センターが、ほかの研究センターと異なり、幼稚舎から大学まで、全ての教員が関わるユニークな拠点と紹介。その後、ヨーロッパの取り組みを参考にしながら、義塾においても、外国語教育における共通の枠組みを作ろうとしていることを話した。


 第二部では、実践報告として、各方面の取り組みを披露。幼稚舎における英語学習の評価方法などが紹介された。そして、第三部では、パネルディスカッション「フレームワーク構築に向けて」が行われた。


 当日は、義塾の外からも関係者が参席。外国語教育の充実とより良い一貫教育の実現に向けて、貴重な場になった。


※CEFR(セフアール)とは、外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠のこと。AOP(行動中心複言語学習)プロジェクトとは、文部科学省の助成により、当研究センターが五年間に渡り、取り組む研究事業。

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学習に関する調査

  SFC研究所が報道発表

 全国のgooリサーチ登録モニターを対象に、個人的な学習プロセスにおける情報・情報源に関する調査を実施したことを、本学SFC研究所が八月七日、報道発表した。これは、インターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」を提供するNTTレゾナントとの共同調査。


 今回の調査結果から、学習開始前、開始後などの各プロセスによって、リアルとネットでのコミュニケーションを使い分けることが分かった。それによると、口コミや新聞などからきっかけを得て、ネットで詳細情報を取得している。学習継続には、対面関係(家族・知人の励ましなど)が必要とする人が多い一方で、四人に一人がネット上のブログなどで仲間を探している。また、対面よりも、オンラインでのグループ学習の方が人気のあることが分かった。

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スクーリング開始 通信教育課程

幅広い年代層集まる
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 慶應義塾大学通信教育課程二〇〇九年度夏期スクーリングが七月三十一日から、日吉キャンパスで始まった。キャンパスには、幅広い年代層の塾生が通い、普段と違った賑わいを見せた。中庭には、各慶友会(通信課程の学生団体)の旗が樹木に設置された。集合の目印となり、授業の合間に語らう光景が見られた。


 スクーリングは三期に分かれ、Ⅰ期の講義は八月七日に終了し、八日から十五日までがⅡ期となる。その後、十八日からはキャンパスを三田に移して、Ⅲ期の授業が二十五日まで行われる。この期間、自宅学習をすることが難しい実験(物理学・化学・生物学)や体育実技などの授業も行われる。


 スクーリング期間中の学内の行事としては、十日に小泉信三記念講座が日吉キャンパスで行われる。その後、十九日に通信教育部の教職員と学生の懇親会、二十四日には清家篤塾長による塾長特別講演会が、それぞれ三田キャンパスで行われる。

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「ARコモンズ」を設立

  今後の展望などを語る
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 「ARコモンズ」設立記念のキックオフ・シンポジウムが七月十日、三田キャンパスの北館ホールで行われた。当団体は、AR空間の公共圏を巡る啓蒙および研究、実証実験などを実施、支援するため、世界規模のディスカッション推進プラットフォームとして設立された。ARとは、拡張現実のこと。


 発起人は、岐阜県立国際情報科学技術芸術アカデミー教授の赤松正行氏、本学教授の岩渕潤子氏、本学准教授の加藤文俊氏ら。今回、この三人を中心に進められた。


 まず岩渕氏が、設立の経緯について説明した。インターネットの普及により、情報技術が発達。AR技術が加わる流れを受けて、「AR空間における公共とは何かを、人文社会学の人々も加わって、議論する場を作るため」と述べた。またそれによって、「技術をサービスに昇華させる役割を担える」と、同団体の今後の展望についても語っていた。


 次に、赤松氏がAR技術について説明した。氏は、日本におけるアイフォンアプリケーション開発の草分け的存在。最近は「セカイカメラ」が有名である。VR(仮想現実)に対して、AR(拡張現実)とは、「現実がまず先にあって、そこに幻想・仮想を加えていく」と述べた。


 また、加藤氏は、「新しいものを作れば、必ず問題は起こる。それを一緒に考えていく場を作りたい」と設立の動機を説明した。


 なお、「セカイカメラ」とは、アイフォンのアプリケーション。カメラ越しに現実世界を見ると、付加情報を得たり、自ら情報を付加することができるというサービス。特に、海外で注目されている。

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