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2009年02月10日号

先端科学技術ipsシンポ

  世界初の研究発表アイルランドの外交語る
ipsシンポ、岡野教授.jpg

 第五回先端科学技術シンポジウム「iPS細胞が切り拓く今後の医学研究」が二月四日、本学研究推進センターとiPS細胞研究拠点の主催の下、三田キャンパス西校舎ホールで開催された。本シンポジウムでは、再生医療の実現を飛躍的に進展させたiPS(人口多能性幹)細胞について、グローバルに最前線で活躍する研究者や脊髄受傷者の団体が、最先端の研究成果や知財戦略、国の取り組みについて講演を行った。

 最初に安西祐一郎塾長が開催の挨拶をした後、iPS細胞研究のオールジャパン体制を推進する文部科学省の菱山豊氏が政府の取り組みについて紹介。続いて、マウスさらにヒトのiPS細胞の作成に初めて成功した山中伸弥京都大学教授が特別講演を行った。


 山中教授は、iPS細胞を作る四つの遺伝子の内のがん遺伝子でもある「c-Myc」について、がんの形成を促進する一方、精子や卵子などにも分化できるiPS細胞を作る機能もあると説明した。


 その上で、この機能が果たす役割が大きいがゆえ単純に「c-Myc」を無くせばいいわけではないと強調。そして、iPS細胞には未解明のメカニズムが多く奥が深く、まだ腫瘍化を防ぐ研究を続けている段階であるとして、臨床試験は時期尚早との考えを示した。


 また、幹細胞と神経再生の研究を専門とする岡野栄之本学教授が、「iPS細胞を用いた神経再生医療」と題して基調講演を行った。その中で岡野教授は、iPS細胞を使って脊髄損傷で脚が麻痺したマウスを歩けるまで回復させることに成功したと発表した。ヒトのiPS細胞の治療効果が確認されたのは世界で初めてだという。


 岡野教授は、山中教授が開発したヒトiPS細胞から神経細胞などの元になる神経幹細胞を作製。これを脊髄損傷で後ろ脚が麻痺したマウスの損傷部に移植した結果、約一カ月で、すべてのマウスが歩いたり走ったりできるまでに回復。iPS細胞を使った治療ではがん化の恐れが指摘されているが、マウスにがんは見つかっていない。


 さらに岡野教授は、霊長類であるサルへの臨床実験も今年中にスタートさせ、人への治療実用化をはかりたいと語った。


 その後、NPO法人日本せきずい基金理事長で自身も脊髄損傷患者である大濱眞氏が講演を行い、「iPS細胞は脊髄損傷患者にとっては希望の光であり、政府の援助による臨床研究の促進に期待したい」と訴えた。


 当日は、企業や行政関係者、研究者など九百人近くが来場し、本会場の西校舎ホールは満席、北館ホールでも中継するほどで、参加者は最先端の再生医療について熱心に聞き入っていた。

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来年度入試志願状況

  昨年比3千4百人減

 二〇〇九年度慶應義塾大学一般入学試験の志願者数が二月五日、確定した。来年度の志願者総数は四万九千八百八十九人で、前年比三千四百人以上の大幅減少となった。これは、二つの要因が考えられる。一つは、昨年から続く、世界的な経済不況。もう一つは、センター試験の平均点低下である。


 経済不況により、学費の安い国公立大学人気が高まっている。また、併願校を減らす、「浪人できない」意識から志望校レベルを落とす、といった行動が見られ、難関大に敬遠傾向があるようだ。そして、今年はセンター試験の平均点が二十点も下がったと言われ、センター利用の法学部・薬学部A方式の受験者が大幅に減少。前年比で三千百三人も減っている。


 医学部は昨年より減少したが、倍率は三〇・一と相変わらず狭き門となった。
 二年目の薬学部は、一般入試のB方式は、前年比百八人の増加。昨年に引き続き、受験生の関心の高いことが分かる。


 なお、法学部A方式と薬学部A方式は、センター利用で試験を終えている。今後、二月十二日の薬学部B方式を皮切りに、三月六日の医学部第二次試験まで続く。

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大学院生が世界初の発見

  遺伝子の起源迫る鍵に

 本学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の大学院生および金井昭夫教授らの研究グループが、高温強酸性の温泉に生息する古細菌(カルディヴィルガ種)と呼ばれる原始的な菌から、三つの部品に分断された奇妙な遺伝子を世界で初めて発見した。この研究内容は二月三日、米国科学アカデミー紀要(PNAS誌)のオンライン版で発表された。


 研究グループは、発見した遺伝子の三つのピースをつなげると、すべての生命がタンパク質を作る際に必要不可欠なtRNA(転移リボ核酸)と呼ばれる分子ができることを発見。


 通常、tRNA は一つの遺伝子としてゲノムに書き込まれているが、この古細菌では、tRNA がジグソーパズルのように短い遺伝子のピースに分かれて存在していることが分かった。さらに、これらの遺伝子ピースの数や組み合わせを変えることで、違う種類のtRNA が作り出されることがコンピュータによる解析と実験で確認された。


 今回の発見により、遺伝子や生命発生プロセスの解明につながることが期待される。

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雪池忌、福澤先生「109回忌」

  社中1500人が参詣

 福澤諭吉先生の命日にあたる二月三日、港区麻布の麻布山善福寺において百九回忌の法要が行われた。


 この日は「雪池忌(ゆきちき」とも呼ばれ、早朝から先生の墓前には安西祐一郎塾長をはじめ、幼稚舎から大学までの塾生、塾員、教職員やその家族など約千五百人の義塾社中が参詣し、亡き先生をしのんだ。


 福澤先生は一九〇一年のこの日、現在の三田図書館(新館)東側にあった義塾内の自邸で、脳溢血のため亡くなった。享年満六十六歳だった。当初は上大崎の墓地に葬られていたが、一九七七年に現在の麻布山善福寺に移葬された。なお、常光寺の墓所跡には、「福澤諭吉先生永眠之地」の碑が建てられている。

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塾高春の甲子園出場

  目指せ! 全国優勝
塾高春の甲子園.jpg

 慶應義塾高等学校(塾高)野球部の第八十一回選抜高等学校野球大会(春の甲子園)への出場が、一月二十三日決定した。秋季関東地区大会優勝、第三十九回明治神宮野球大会優勝などの活躍が評価されての選抜で、春の甲子園出場は昨年に引き続き八回目。


 昨年春は二回戦敗退を喫したものの、夏では田村、只野の両エースを擁してベスト8進出を果たした。なお、二〇〇五年春にもベスト8まで進んでいる。


 今回の塾高には、MAX146キロ右腕のエース白村明弘投手が力投を続けており、全国の注目を集めそうだ。


 記者会見で上田誠監督は、「選手たちが、もう一度聖地・甲子園に立って先輩たちがやり残したことをやろうと、ひたむきに練習に励んだ成果が三季連続の甲子園出場に繋がった。秋の神宮大会優勝が偶然でなかったことを証明できるように頑張りたい」と語った。


 白村投手は、「秋の結果にうぬぼれず、去年の春の甲子園で成しえることのできなかった初戦突破を最大の目標に掲げ、チーム一丸となって頑張ります」と意気込みを語った。

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慶・早・東・東工、川崎市と連携

  4大学コンソーシアム

 慶應義塾大学・早稲田大学・東京大学・東京工業大学の四大学が共同でナノ・マイクロ領域の超微細加工技術の研究を進める「4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアム」は、川崎市と相互に連携・協力して教育・研究・産学連携活動を行うことで合意したことを発表した。


 このコンソーシアムは、ナノメートルからマイクロメートルの領域における極限加工技術をはじめ、先端科学技術の開発を目標とした教育・研究を推進する共同事業体。


 今回の基本合意により、今年四月をめどに、新川崎・創造のもり「かわさき新産業創造センター」にコンソーシアムの活動拠点を開設し、共通施設の整備やシンポジウムの開催などを通して教育・研究・産学連携活動を展開していく予定。

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幹細胞の角膜シートを開発

  医学部眼科学教室

 本学医学部眼科学教室および再生医療学教室の研究グループ(坪田一男教授、福田恵一教授、榛村重人准教授)は、ドナー角膜由来幹細胞をドナー骨髄間葉系幹細胞と共培養することで、移植可能な上皮シートを作成する技術を開発した。


 本臨床研究は眼科領域で初めて、厚生労働省のヒト幹細胞を用いる臨床研究指針の承認を二〇〇九年一月二十一日に受けた。

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アイルランド首相が講演

  アイルランドの外交語る
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 ブライアン・カウワン アイルランド首相による外交政策に関する講演「アイルランド、欧州、そして日本-拡大する世界のパートナー」が一月十五日、三田キャンパス北館ホールで慶應義塾・駐日アイルランド大使館共催のもと行われた。


 カウワン氏は財務大臣、外務大臣を経て二〇〇八年五月にアイルランド首相に就任。今回が初来日で、当日は世界のパートナーとしてのアイルランド・欧州・日本が直面する課題、紛争解決や平和構築に向けての提言を行った。


 講演ではまず、アイルランド出身の作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)について、また、同出身のウィリアム・グレイ牧師が慶應義塾でホッケーを教えたことが日本ホッケーの始まりになったことを紹介。


 続いてEUについて述べると、アイルランドがEU加盟による援助で貧困から脱却したことに触れ、世界の貧困問題を持続的かつ平等な開発援助で撲滅したいと意欲を示し、ODA拠出額世界六位の日本の取り組みに評価を示した。


 平和構築に向けては、近年核保有国が増えていることに懸念を示し、軍縮が世界の重要なコミットメントになっていると強調。その上で、核不拡散条約の進行に向けて各国が協力することの必要性を訴え、クラスター爆弾使用禁止条約のような動きを促進していきたいと述べた。


 紛争問題にも言及し、解決には原因を究明するとともに、司法など多くの枠組みを適応させることが必要と指摘。そして、北アイルランド問題など過去の経験を共有することが平和創造には欠かせないとして、各国政府、NGO団体との協力に意欲を示した。


 講演後の質疑応答ではリスボン条約についても触れ、昨年条約批准への国民の合意が得られなかったのは、政府が国民に日常生活とEUの密接な結びつきを理解させられなかったためだと述べ、原因を究明して今年後半には批准が得られるだろうと考えを述べた。

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